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キャリア

サロンを引き継ぐ|「継がないか」と言われたら

一から開業するより初期費用を抑えられる一方、負債も人も常連との関係も一緒に来ます。確認する項目を整理します。

VANNA Recruit 編集部公開:更新:

この記事で分かること

  • 引き継ぐ対象の範囲を書面で確認する。「全部そのまま」で進めない
  • オーナーが変わればスタッフも常連も一定数離れる前提で計算する
  • 契約書と決算は専門家に見てもらう。自分だけで判断しない

「この店を継がないか」と言われることがあります。オーナーが引退を考えている、後継者がいない。美容業界では珍しくない場面です。

一から開業するより初期費用を抑えられる一方、引き継ぐのは設備だけではありません。負債も、人も、常連との関係も一緒に来ます。

一から始める場合との違い

内装も設備も既にあり、常連もいます。集客がゼロから始まらない点が最大の違いです。

一方で、店の場所も間取りも自分では選べません。既存のやり方を変えるには、スタッフとお客さまの理解が要ります。

何を引き継ぐのか

物件の契約、設備、スタッフの雇用、取引先との関係、そして顧客。どれを引き継ぎ、どれを引き継がないかで、話がまったく変わります。

まず、対象の範囲を書面で確認してください。口頭の「全部そのまま」で進めると、後から食い違います。

事業の形を確認する

個人事業として営まれているのか、法人なのか。個人事業であれば、事業そのものを譲り受ける形になります。

法人であれば、株式を譲り受ける形もあります。この場合、会社が抱えている負債や契約も一緒に引き継ぐことになるため、確認の範囲が広がります。

負債と契約を確認する

リース契約、借入、未払いの買掛。表からは見えない部分です。

契約書と直近の決算、取引先ごとの残高。専門家に見てもらってください。ここを確認せずに進めるのは危険です。

物件の契約を確認する

賃貸であれば、契約を引き継げるかを大家に確認する必要があります。名義の変更が認められないことがあります。

残りの契約期間、更新の条件、原状回復の範囲。ここが不明なまま引き継ぐと、数年後に大きな費用が出ます。

美容所の届出は自分で行う

経営者が変わる場合、届出の扱いを保健所に確認してください。構造設備の基準を満たしているかも、あらためて見られます。

常時2人以上の美容師がいる美容所には、管理美容師を置く必要があるとされています。要件は美容の資格・検定の選び方、衛生と法令は美容所の衛生管理と決まりにまとめています。

設備の状態を見る

内装も設備も、使われた年数の分だけ古くなっています。シャンプー台の給排水、空調、電気容量。

いつ交換が必要になるかを見積もり、その費用を計画に入れてください。「そのまま使える」と言われても、自分で確かめてください。

スタッフを引き継ぐ場合

雇用を引き継ぐなら、労働条件をどうするかを決める必要があります。条件を下げれば、辞める人が出ます。

いま働いている人の給与、勤続年数、有給の残日数。これらを把握したうえで判断してください。雇う側の義務は施術のトラブルと賠償にもまとめています。引き継がれる側から見た確認事項はオーナーや経営者が代わるとき、家族が営む店で働く側の見方は家族経営のサロンで働くときにまとめています。

スタッフが辞める前提で考える

オーナーが変わると、辞める人が出ます。前のオーナーとの関係で働いていた人ほど、その可能性が高くなります。

全員が残る前提の計画は立てないでください。何人抜けても回るかを確認してください。

常連は残るとは限らない

前のオーナーの技術と人柄で通っていた人は、担当が変われば離れます。売上がそのまま引き継がれる前提で計算しないでください。

引き継ぎの期間を設けて、一緒に立つ形が取れるかを相談してください。

顧客情報の扱い

顧客の情報を引き継ぐ場合、扱いには注意が必要です。取得した目的の範囲を超える利用にならないか、確認してください。

判断に迷う場合は、専門家に相談してください。

譲渡の価格をどう見るか

設備の価値、常連の数、立地。これらを根拠に価格が示されますが、根拠を1つずつ確認してください。

直近数年の売上と利益の推移を見せてもらってください。落ちている店を、良かった頃の数字で買うことになりかねません。

損益分岐点を自分で計算する

引き継いだあとの固定費に、返済がある場合はその額を足してください。そのうえで、必要な月間の来店人数を出します。

計算の考え方は独立の資金計画にまとめています。渡された事業計画をそのまま信じないでください。

資金の調達

自己資金と融資で賄うことになります。事業を引き継ぐ場合に使える制度がある場合もあります。

条件と手続きは、各機関の窓口で確認してください。

専門家に見てもらう

契約、税、登記。自分だけで判断しないでください。費用はかかりますが、後から争うより安く済みます。

事業の引き継ぎについては、公的な相談窓口もあります。まず相談してから進めてください。

家族や親族から引き継ぐ場合

条件が曖昧なまま進みやすい形です。身内であっても、書面にしてください。

相続や贈与に関わる場合、税の扱いが変わります。専門家への相談が必須です。

独立支援の一形態として示される場合

独立・開業支援のある求人の中に、将来の引き継ぎを前提とした募集が含まれることがあります。

その場合、何年後にどういう条件で引き継ぐのかを、入る前に書面で確認してください。口頭の約束は残りません。独立を目指す人向けの特集に、関連する求人がまとまっています。

まず雇われて中を見る

いきなり引き継ぐ前に、その店で働いてみる方法があります。数字も人も、中に入らないと見えません。

店長・マネージャーの求人として入り、運営を任される段階を経てから判断する形が現実的です。

引き継がない判断もある

条件が合わなければ、断って構いません。「せっかく声をかけてもらったから」で決めると、後から苦しくなります。

一から始めるほうが結果的に安く済む場合もあります。両方の計画を作って比べてください。

雇われ店長との違い

「継がないか」と言われた内容が、実際には雇われ店長である場合があります。経営者になるのか、雇用されるのかで、責任も収入も違います。

雇用であれば労働条件の明示が必要です。読む場所は雇用契約書と労働条件通知書の確認にまとめています。

準備の期間を取る

引き継ぐと決めてから実際に引き継ぐまで、数か月は見てください。届出、契約、資金、スタッフへの説明。

準備項目は独立前のチェックリストにまとめています。

引き継いだあとの数字

前のオーナーの時代と自分の時代を、同じ項目で比べてください。何が変わったかが分かります。

見方はサロンの数字の見方にまとめています。

引き継いだ直後にやること

前のオーナーのやり方を、すぐに全部変えないでください。常連もスタッフも、変化に対する耐性には限りがあります。

変えるなら、理由を説明したうえで1つずつです。数字を見て、効果を確かめながら進めてください。

今日からできること

まず、引き継ぐ対象の範囲を書面で確認してください。次に、直近数年の売上と利益の推移を見せてもらいます。

そのうえで、契約書と決算を専門家に見てもらってください。この3つが揃うまで、返事をしないでください。

キャリアの記事一覧もあわせて読めます。

参照した資料

制度や手続きの詳細は改定されることがあります。実際の判断は、各機関の最新の案内や 専門家へのご相談とあわせてご確認ください。

条件を確かめながら、実際の求人を見てみましょう。

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よくある質問

一から開業するのと何が違いますか。

内装も設備も既にあり、常連もいます。集客がゼロから始まらない点が最大の違いです。一方で、店の場所も間取りも自分では選べず、既存のやり方を変えるには理解が要ります。

何を引き継ぐことになりますか。

物件の契約、設備、スタッフの雇用、取引先との関係、顧客です。どれを引き継ぎ、どれを引き継がないかで話がまったく変わるため、対象の範囲を書面で確認してください。

負債も引き継ぎますか。

事業の形によります。法人の株式を譲り受ける形であれば、会社が抱えている負債や契約も一緒に引き継ぐことになります。契約書と直近の決算を専門家に見てもらってください。

物件はそのまま使えますか。

賃貸であれば、契約を引き継げるかを大家に確認する必要があります。名義の変更が認められないことがあります。残りの契約期間、更新の条件、原状回復の範囲も確認してください。

保健所への届出は必要ですか。

経営者が変わる場合の扱いを保健所に確認してください。構造設備の基準を満たしているかも、あらためて見られます。

スタッフは残りますか。

オーナーが変わると辞める人が出ます。前のオーナーとの関係で働いていた人ほど、その可能性が高くなります。全員が残る前提の計画は立てないでください。

常連はそのまま来ますか。

前のオーナーの技術と人柄で通っていた人は、担当が変われば離れます。売上がそのまま引き継がれる前提で計算しないでください。引き継ぎの期間を設けて一緒に立つ形が取れるか相談してください。

譲渡の価格はどう判断しますか。

設備の価値、常連の数、立地を根拠に示されますが、1つずつ確認してください。直近数年の売上と利益の推移を見せてもらい、落ちている店を良かった頃の数字で買わないようにしてください。

家族から引き継ぐ場合も同じですか。

条件が曖昧なまま進みやすい形です。身内であっても書面にしてください。相続や贈与に関わる場合、税の扱いが変わるため専門家への相談が必須です。

断ってもよいですか。

条件が合わなければ断って構いません。「せっかく声をかけてもらったから」で決めると後から苦しくなります。一から始めるほうが結果的に安く済む場合もあります。